平成30年度 第1回定例会(2月20日~3月15日) 質問日:3月12日

平成30年度第1回定例会において、以下のとおり一般質問を行いました。

一般質問の内容
  1. 保育について
  2. 多様な人材の労働参加について
【保育についての意見要望】

1 現在、小規模保育事業に預けた方は、子どもが3歳になると、次の行き先が見つからない問題が生じます。初めから認可保育所に入りたい希望を伝えたが、小規模保育事業しか空きがなかったケースがほとんどです。待機児童解消を目指す上で、今後、子どもが3歳になった際に、その後の受け皿が不足しているという事態にならないよう計画的な整備をお願いします。その意味で、公立保育所の果たす役割は重要です。しかしながら、現実には公立保育所は民営化が進み、また民間の認可保育所を増やすには用地不足などの課題もあります。幼児教育と小学校教育の円滑な持続を図る為のモデル事業も始まり、小学校の空き教室や校庭の一部に保育所を整備することを検討しては如何かと存じます。

<回答>

小規模保育事業所を卒園した3歳児の受け皿については、本市としても課題と認識しており、現在は、3歳を迎えた次の4月の入所選考において、最優先で利用調整を行っておりますが、引き続き、この課題における公立保育所の活用方法も含め、対応策を検討して参ります。
保育所整備に係る小学校の活用については、児童の育ちや学びにとってプラス効果が期待されるほか、既存資源の有効活用の一手段ともなり得ると考えておりますが、他方、小学校における活動への影響や、児童の安全確保等を十分に考慮する必要があることから、慎重に検討する必要があると考えております。

2 次に、認定こども園への移行についても、事業者に対する周知が十分に浸透しておらず、制度運営が円滑に進んでいない部分があるのも事実で、そのためには情報・意見交換並びに移行の継続支援など、きめ細かい対応と事務負担の軽減をお願いします。

<回答>

認定こども園への移行を希望する幼稚園を支援するため、引き続き、各園に対する丁寧な説明を行い、認定こども園に対する理解を促進するとともに、幼稚園協会が新たに設置した認定こども園特別委員会等を通じて、移行園等と十分に意見を交換し、相互に連携・協力して、事務の簡素化などを検討して参ります。

3 また、小規模保育園の巡回指導の強化についてですが、指導の際には、園内に危険な場所や設備はないか、落下防止・転倒防止策は講じているか、避難経路の確保は十分か等々に着目すると共に、保育の様子も併せて確認し、特に、食事環境や午睡環境等については重点的に確認していただきたいと思います。また、ICT化が進めば保育現場は手作業での仕事が多いので業務負担を軽減し人材確保につながります。

<回答>

保育施設での事故が発生しやすい状況は、午睡中、食事中、外遊び中が多いことから、午睡の際の寝かせ方の配慮やアレルギー児への配膳の工夫、年齢ごとの活動に応じ注意すべき点など、具体的な留意点を記載した手引書を作成し配布しております。また、巡回指導員が定期的に施設を訪問する際は、保育についての助言や指導を行いながら、ご指摘の件も含め、安全管理等について確認しております。
ICT化については、国の平成29年度補正予算に、ICT化に係る項目が計上されていることから、今後本市での実施について検討して参ります。

4 園における保育の質に関しては、それが幼児の発達にとって大きな影響があるとの海外の研究もあります。子どもは2歳まで脳の神経がどんどん張り巡っていき、保育の質によって、その後の発達に違いがでてくると言われます。ご答弁から思うに、小規模保育事業の保育士の研修受講者数が少ないことに関しては、小規模保育事業自体の人員配置が少なく、研修に参加したくてもなかなか参加できないという運営上の理由もあると思われますので、是非、保育の質の向上を図る為にも出前研修の実施をお願いします。

<回答>

出前研修につきましては、課題を整理した上で、千葉市民間保育園協議会をはじめ、市内大学・短期大学等養成機関等とも協議しながら、調査研究して参ります。

5 医療的なケアを必要とする子どもに関しては、親が仕事を辞め、24時間子どもに付き添わざるを得ないケースが増加傾向にあると伺っておりますので、一時預かり事業と同様、親の就労機会を保障するという意味でも、医療的ケア児とその家族への更なる支援を是非、お願い致します。

<回答>

保育施設での医療的ケアに関する支援につきましては、公立・民間ともに施設や人員配置の面での環境整備が必要であることから、十分な実施体制・制度となるよう検討してまいります。

6 子どもの発達にとって、環境、親、保育者は子ども達のよりよい育ちに影響を与える大きな役割を担っています。子ども・子育ての制度は、保育園・幼稚園、認定こども園、そしていろいろな保育施設が子ども達の幸せのためにあること、またそのためには、最後のご答弁にもありましたとおり、保育の質の確保を十分にしたうえでの量の拡充が必要となってきますので、当局におかれましては改めてご認識いただき、本市の保育行政に取り組んでいただきたいと思います。

<回答>

保育の質の確保と量の拡充が両立するよう保育士確保や研修の充実並びに国基準を上回る認可基準に基づく計画的な施設整備などに努めてまいります。

【質問2 多様な人材の労働参加について(意見・要望)】

初めに、少子高齢化によって、今後、ますます生産労働人口が減少する中、中小企業における人材確保は喫緊の課題です。

本市もこれまで官民連携のもと、様々な地域人材の活用に取り組まれている様子が窺えます。例えば、介護保険制度の地域支援事業ではNPOやボランティア、企業や介護事業者など様々な人が関わることで介護予防が効果的に進められることが想定され、しかも、その担い手には、お元気な高齢者にも積極的に参加してもらうことが期待されております。本市が開設した千葉市生涯現役応援センターは、地域の高齢者を生涯現役として活用する基盤であり、今後も、その利活用が大いに期待されるところです。

また、女性の活躍に関する中小企業支援のための研修や職場の環境改善に関わる情報などは、中小企業に対して積極的に周知をお願いしたいと思います。

次に、中小企業の中には、グローバル市場での競争力を持つ企業、高い技術力のある企業や社会的に存在価値がある企業も多く見受けられる為、若手人材の育成、技術継承、さらには学校教育の段階で実践的な職業スキルを身につけた学生と、それら中小企業とのマッチングは非常に重要となっていますので、インターンシップなどの強化に関する行政としての支援をお願いします。

外国人雇用については、日本に住む外国人の生活が安定するよう、業種によっては外国人に住宅を提供しなければならないケースも考えられる為、例えば、外国人向けに空き家を提供するなどの住まい対策も必要と思われます。

また、本市は、国際都市として、さらなる発展を目指す方向性をより明確に示した「多文化共生のまちづくり推進指針」を昨年12月に策定し、「多様性を都市の活力としていく」との方針を打ち出しました。外国人雇用につなげるためには、外国人市民が暮らしやすいまちづくりへの取り組みを一層進めることが重要であると考えますので、この指針でうたわれている「外国人市民と日本人市民がともに働く場の創出」についても今後、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

中小企業の場合、市の施策が多数あることを知っていても、どのように当該施策を自社で導入したらよいか分からない、働き方改革の施策についても導入する余裕・時間がない、また、市産業振興財団のホームページで目的の支援を探そうとしたところ、調べたい項目にたどりつかないとのご意見もいただいております。  

このような中小企業からの声もあるため、実態に則した相談体制の強化が必要であり、例えば、業種別の取り組みについてのインターネット相談等、きめ細かい対応を実施していただきたいと思います。

さらに、IT機器の導入については、現在、中小企業の約6割がIT機器を導入していますが、そのうち3分の2が、給与など経理業務の内部管理業務向けに導入しているにすぎず、今後、効率化や増益に直結し、導入が容易なITのシステム化を、どのように進めるかが課題となっていますので、是非、それについての支援強化策をご検討くださるようお願いします。

最後に、「女性が働きやすい」ということについてですが、育休が取りやすいとか、ワーク・ライフ・バランスが実現でき、女性管理職が多い職場など、「女性が働きやすい」という言葉には、いろいろなケースが想像できるのではないかと思います。

「働く女性」と、一口に言っても、未婚の方や家庭を持っている人、子どもがいれば母親でもあります。その方のそれぞれの役割を無理なくこなしながら、多様な働き方、生きがいが選択できる社会が、「女性が輝く社会」ではないかと感じております。

女性がその人らしく人生を送ることができる社会の実現に向け、当局の取組みに大いにご期待したい。

【千葉市の現状】

  1. 平成30年度からの新たな取組みとして、専門的な知識と経験を持つアドバイザーを企業に派遣して、生産性の向上や魅力的な職場づくりに関する課題の抽出やその具体的な解決策を提示する、企業コンサルティングに取り組んで参ります。
  2. 人手不足が深刻な技術系職種への人材供給としては、中学生向けに技術系職種の魅力を伝える啓発冊子を配布するとともに、普通科高校の生徒や卒業生に加え、保護者や進路指導教諭を対象として、市内企業の職場見学や活躍している社員との対話を行うことにより、技術系職種への理解促進を図って参ります。
  3. そのほかの人材の確保策としては、大学生向けにはインターンシップ支援事業や合同企業説明会を、女性・高齢者向けには、キャリアプランニングセミナーなどを実施し、人材確保の支援に努めております。
  4. これら施策の実施にあたっては、市産業振興財団や千葉商工会議所などの関係団体とも十分に連携し、効果的な雇用対策にしっかりと取り組んで参ります。