2011年7月 行政視察報告「保健消防委員会行政視察」(名古屋市)

平成23年7月25日から27日にかけて、保健消防委員会で姫路市並びに名古屋市へ行政視察に行って参りました。
今回は、その視察内容についていくつかご報告いたします。

名古屋市食の安全・安心条例及び名古屋市食の安全・安心の確保のための行動計画について
(1) 名古屋市食の安全・安心条例

近年、BSE(牛海綿状脳症)や食品中の残留農薬、食品の偽装表示など、様々な問題が発生する中、名古屋市においては、市、事業者、消費者がそれぞれの立場から、食の安全・安心の確保に向けて共に力をあわせて取り組み、市民の健康の保護を図ることを目的として、「名古屋市食の安全・安心条例」を制定しました。(平成19年12月26日公布、平成20年4月1日から施行)

制定の目的
食の安全・安心の確保に関し必要な事項を定めることにより、市民に信頼される安全で安心な食品の供給の促進及び市民の健康の保護を図ることを目的とします。
主な内容
  • 食の安全・安心の確保について、市及び事業者の責務並びに消費者の役割が定められています。
  • 食の安全・安心の確保に関する施策を、総合的かつ計画的に実施するための行動計画を策定しています。
  • 食の安全・安心対策として、食の危機管理体制の整備、適正表示の推進、自主回収報告制度、公表制度、市民への情報提供などについて定めています。
  • 食の安全・安心の確保に関する事項について協議するため、名古屋市食の安全・安心推進会議を設置します。
(2) 名古屋市食の安全・安心の確保のための行動計画

名古屋市では、「名古屋市食の安全・安心条例」第7条に基づき、市が取り組む食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために「食の安全・安心の確保のための行動計画」を毎年策定し、公表しています。

1.食の安全・安心の確保のための体制
  • 市の食の安全・安心対策推進体制
  • 関係機関との連携協力体制
2.平成23年度重点対策
  • 事件・事故の発生及び拡大のための対応
  • 食品表示の指導及び啓発
  • 食品検査の充実
  • 自主管理の推進
  • リスクコミュニケーションの充実
3.生産から消費までの各段階における食の安全の確保
 
4.自主的な衛生管理の推進
  • 食品関連事業者の自主管理の推進
  • 市が実施する事業における自主管理の推進
5.リスクコミュニケーションの充実
  • 食の安全・安心についての意見交換
  • 食の安全・安心情報、リスク情報の提供
  • 食の安全・安心に関する知識の普及啓発
  • 食育の普及啓発

※参考「 名古屋市食の安全・安心条例

質疑応答

質問:食の安全・安心に関する知識の普及啓発ということで、走る食品衛生教室を実施されているが、毎年どのくらいの方が参加しているのか。

回答:毎年100数件開催しており、保健所が窓口となっている。バス1台で、定員は20名程度であることから、それ以内で予約をしていただき、車内で講習を実施するほか、食品安全・安心学習センターの見学をしていただいている。

障害者の就労支援について

名古屋市では、障害者の就労に向けての支援や働く場の確保、活動しやすい環境づくりを通じて、社会的に自立した生活の実現と、社会参加の促進を図っている。

(1) 施設から一般就労への移行促進

福祉、労働、教育、企業など就労支援を推進するためのネットワーク及びシステムの構築のために以下の事業を行っている。

ア 障害者就労支援推進会議の開催
イ 就労支援説明会等の実施
ウ 障害者就労支援にかかる人材の育成
エ 職業能力開発プロモーターの配置
オ 就労定着支援事業(平成23年度拡充)

(2) 企業向け支援(障害者雇用促進企業認定等制度)

市内の事業所等で、障害者雇用数が常用雇用労働者数の3.6%以上である企業を「障害者雇用促進企業として認定し、本市の行う指名競争入札において優先指名を受けることができる等の優遇措置を実施している。

また、登録された市内の授産所等の授産活動について、通常は競争入札に付される金額の物品の購入や役務の提供を受けるにあたって、随意契約することができる等の優遇措置を実施している。

質疑応答

質問:名古屋市の正規職員として障害者が採用されているが、正規職員で精神障害者を雇用することはあるのか。また、嘱託職員の更新期間は何年か。

回答:嘱託職員については、平成19年度から始まったもので、最長3年間で、更新手続は毎年行っている。正規職員については、知的障害者5名であるが、身体障害者は162名が在職している。精神障害者については今のところ採用予定はない状況である。

現状:千葉市では、非常勤嘱託職員が2名である。今後、知的・精神障害者の雇用を増やしていく必要がある。

生活保護関連施策について
(1) 名古屋市の状況
1.生活保護の動向
  • リーマンショック以降、保護受給世帯が急増。
  • 特に、就労可能な者が保護を受給する「その他世帯」が、3.5倍以上の伸びとなっている。
  • 「その他世帯」は、雇用情勢が厳しい中で、就職できずに生活保護が長期化しつつある。
2.生活保護費の状況
  • 保護費が急増し、本市の財政を圧迫している。
(2) 本市の取り組みの状況
1.生活保護世帯の就労支援の拡充
  • 就労支援員を平成23年2月に30人増員し、53人とするなど就労支援プログラムの拡充を行っている。
  • 就労意欲喚起事業(平成23年6月開始)の円滑な実施。
  • 「福祉から就労」支援事業について、今後、愛知労働局、愛知県及び名古屋市の三者で協定を締結し、被保護者の就労自立に向けて連携を図る予定。
2.生活保護の不正受給の防止
  • 収入申告と課税状況の照合調査、愛知県警察本部と「生活保護からの暴力団排除に関する合意書」を締結(昭和22年7月)、年金相談員による老齢年金等受給資格点検事業の強化などの取り組みを実施。
  • 不正受給の未然防止・徴収に向け、今年度から部長をトップとする検討チームを立ち上げ、現在までに4回実施。
  • 不正受給防止のチラシを作成し、本年7月下旬から家庭訪問等により保護受給している全世帯に対し周知を図っていく予定。
3.各区の生活保護実施体制の強化
  • 毎年度、現業員、査察指導員及び嘱託員の増員を図っているが、生活保護世帯の急増を受けて、現業員及び査察指導員が国標準数を大きく下回る状況が続いているため、更なる増員を図って、適正な生活保護の執行体制の確保に努めている。

質疑応答

質問:嘱託として就労支援員を増員しているが、この方たちは以前どうような職業をされていたか。

回答:現在は53名の就労支援員を配置しているが、平成17、18年頃からやっている方もいる。
資格としては、職業カウンセラー、社会福祉士、就労支援を行うということでそれに必要な専門的知識を持った方ということで募集を行い、嘱託としているので、役所OBということではない。
あくまで公募している。(職業カウンセラー、社会福祉士、あるいは職安等で就労支援を行っていた方も可能)

現状:千葉市でも就労支援を行っているが、市民の方からクレームが多いのは不正受給である。千葉市はなかなか取り組めていない状況である。

クオリティライフ21城北について

担当者から説明を受け院内の視察を行った。
参考:クオリティライフ21城北についてのページ